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魔女っ子(予定)少女 まなちゃん

 

 13.召喚魔法

 

「やっく〜ん! ちょっと来てぇ!」

 

少女のはずんだ声が響いてくる。

その声に反応して、僕の背中の温度がスッと下がった(ような気がする。)

パブロフの犬…いわゆる条件反射である。

声の感じから推測するに、彼女はおそらく一緒に遊ぼうとでもいうのだろう。

彼女との付き合いはそれほど長くはないが、付き合い方が付き合い方だけに、

行動パターンからご機嫌の具合まである程度わかるようになってしまった。

 

それはさておき、遊びに誘われたくらいで、なぜ冷や汗をかかなければならないか

というと…第一に僕の身体の大きさに理由がある。

今の僕はコビトなのだ。身長は5センチメートルに過ぎない。

 

彼女の名前は、まなちゃんという。小学5年生の10歳だ。

彼女は不思議な力を持っていて魔法のようなものを使う。

僕をこのような小さな身体に縮小したのも彼女の仕業だ。

おまけに元に戻せなくなってしまったというのだから、僕としてはお先真っ暗だ。

こんなコビトの身体では、一歩外に出るだけで誰かに踏み潰されるか猫の餌食になるか、

とにかく生きていくのが難しいことは火を見るよりも明らかだ。

 

以来、僕の身体を元に戻す方法が見つかるまで、僕は彼女と一緒に暮らすことにした。

それにしても22歳にもなって小学生の女の子の世話になるとは夢にも思わなかった。

彼女も、付き合ってみれば悪い娘ではないのだが…

そして…

 

「ひえ〜。姫のお呼びか…。今度はどんな凶悪なのを考えついたんだ?」

 

まなちゃんの遊びに付き合うと、かなりの確立でひどい目に遭う。

コビトの僕にとっては命も危ないと思えることが多々ある。

一緒に遊ぶというよりも、僕が一方的に彼女のオモチャにされているという表現の方が正しい。

先日など、キスの真似ごとを強要されたあげく、彼女のくしゃみで50コビトメートル※

ほど吹き飛ばされて、全身青アザだらけになってしまった。

(※:1コビトメートルは普通サイズの人から見れば3センチメートル弱)

普通の人間が50メートルも吹っ飛んだらまず死ぬだろう。良くても大怪我か。

僕が骨折すらしなかったのは奇跡だ、あるいは何かの魔法の力が働いているのか…

しかし、危険は避けるに越したことはない。

 

(ひとつ居留守でも使ってやろうか? …いや! だめだな…)

 

頭の隅に湧き上がるその思いを諦めの表情で振り払う。

最近、まなちゃんと僕との間の以心伝心…テレパシーが少しずつ強くなる傾向にある。

彼女には僕の居る位置がなんとなくわかるらしい。

居留守など使っても無駄であるばかりか、彼女を怒らせてしまうことは目に見えている。

ここは素直に彼女の言うことを聞いて用事を済ませて、早く開放されるのが賢い選択だろう。

 

「やっくん、早くぅ〜!」

 

あれこれ考えてもたもたしていると、まなちゃんのじれったそうな声が聞こえてきた。

行くしかない。

僕は、足どりも重く、のそのそと出ていった。

 

まなちゃんは僕のスペースのすぐ前で待ち構えていた。

出入り口のすぐ先に彼女の巨大な足が待ちきれないと言わんばかりに、うずうずと動いて

いるのが見える。

それがあまりに近過ぎて、このまま出て行くのは危険かとも思えたが、僕が出て行くのを

彼女は承知のはずだから間違って踏みつけられるようなことはないだろう。

 

「まなちゃーん!! 気をつけてよー!!!」

 

僕は大声で注意を促してからゆっくりと出て行った。

そして彼女の足元から見上げる。スカートの中が丸見えのいつもの光景…のはずだが、

ちょっと違うような気がする。

 

(!?…)

 

今日の、まなちゃんは、赤いフレアタイプのミニスカートにクリーム色のソックス。

そして肌色のぱんつだ。ぱんつの前部に刻まれた割れ目が、とってもキュートだ。

 

(ん!?… 肌色っ? 割れ目ぇ?

 ………って、これは……まなちゃん、ノーパンじゃないかっ!?)

 

短いスカートの下に見える彼女のヒップは、間違いなく下着を穿いていない。

 

僕は、まなちゃんの裸はお風呂などで見慣れている。

彼女のお尻の穴や未熟な性器までも例外ではない。

(それどころか、幸か不幸か、もっとすごいものまで見せられている。)

だが「覗き見の効果」とでも言うべきか、今のような状況でアソコを見ると、

何となく得したような気分と罪悪感とが入り混じった複雑な気持ちになる。

 

「やっくん! あのね!

 ……………あたし……………………………………………それでね…………………」

 

そんな僕をよそに、まなちゃんは早速喋り始めた。

 

(これは……………言うべきか? 言わざるべきか?…)

 

まなちゃんの説明をうわの空で聞き流しながら、僕はそれを考えていた。

 

それにしても、ぱんつを穿き忘れるなどという事が本当にあるのだろうか?

だとしたら、そうとう間抜けだ。

 

(こんな事を面と向かって指摘したら、いくら何でもばつが悪いだろうな…)

 

しかし、このまま放っておくのも気がとがめる。僕は、決心して口を開いた。

 

「あ…あの、まなちゃん………」

 

これは僕自身も気恥ずかしい。いきおい声も小さくなる。

当然、彼女は気付かずに喋りまくっている。

僕は深呼吸をして、思い切って声を張り上げた。

 

「まなちゃんってばーーー!!」

 

「ん? 何? やっくん。」

 

「その…言いにくいんだけどさ… ほら、何か…忘れてない?」

 

「何かって?」

 

「うっ………いや、あ、あれだよ。」

 

「だから、何よ?」

 

「いや、だから、その………」

 

まなちゃんは僕の視線をたどった。

そして視線の行方に気付いたらしく、一瞬の沈黙の後…

 

「あはは! やだ〜っ! やっくん、えっちぃ!」

 

「だーーーっ!? ちっ、ちがう、ちがうっ!!」

 

予想と異なる彼女の反応に僕はたじろいだ。

まなちゃんは恥ずかしがるどころか薄笑みを浮かべて、とんでもない方向にカッ飛んでいく。

 

「んもう。そんなに見つめちゃって!!

 あ、もしかして、この中で遊んでみる気になったの?」

 

「い、いや! あの、そ、そうじゃないって!!」

 

スカートを少しめくり、先刻から露になっている割れ目(未使用)を指差す彼女に対し

僕はしどろもどろで否定した。そんな僕を見た彼女は悪戯っぽい目つきになっていく。

まなちゃんは、いきなりその場に座り込んで両脚を大きく開いたかと思うと、

僕をつまみ上げて彼女の股間へと運んだ。

 

「どひ〜っ!! まなちゃん!!」

 

「うふふ。入れちゃおうかな〜? なんてね☆」

 

わめいている僕をつまんだまま、彼女の指は割れ目をかすめるように通過して急上昇し、

彼女の顔の前まで持ち上げられた。

 

「あはっ、わかってるって。いつかの約束、ちゃんと覚えてるから。

 あたしが生理(おとな)になるまでアソコには絶対何も入れないよ。」

 

「もう、勘弁してよ〜。まなちゃん…」

 

最初から疲れ果ててしまいそうだったが、この位でめげている訳にはいかない。

彼女のパートナーは並みの精神力では務まらないのだ。

 

∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽

 

「え? それじゃあ、まなちゃん、ぱんつ、わざと穿いてないのかい?」

 

「うん☆」

 

「穿き忘れたんじゃなくて?」

 

「そうよ。今日は、この方が便利なんだもん。」

 

「何に便利なのさ?」

 

「それは、後でのお楽しみ。うふふ…」

 

(う…ろくでもない事だ。きっと…)

 

相変わらず小悪魔的な笑みを浮かべている彼女に僕の不安は大きくなるばかりだ。

 

「そ、そういえば、まなちゃん、何の用だっけ?」

 

「あん! 聞いてなかったの?

 あたし、新しい魔法が使えるようになったって言ったのに!」

 

「ごめんごめん。さっきのことが気になっててさ。」

 

「ほんとにもう。しょうがないんだから。

 それより、やっくん。しっかり見ててね☆」

 

まなちゃんは僕を床の上に降ろして再び立ち上がった。

 

「えっ? 見るって? あ………」

 

彼女をぽかんと見上げている僕の目に、再びスカートの中のモノが映る。

 

「やだぁ! もう、そこじゃなくってぇ…

 新しい魔法! 新しい魔法が使えるようになったから見てって言ってるのよ!!」

 

まなちゃんは、じれったそうにその場で足踏みする。

彼女が起こす地響きを感じながら僕はハッとした。新しい魔法とは?

 

(え? ひょっとして、僕を元の大きさに戻せるようになったとか!?)

 

すっかり忘れていたが、まなちゃんの魔法が上達すれば、彼女の不完全な魔法のせいで

コビトに縮小された僕が元どおりの大きさに戻れる可能性もあるのだ。

しかし、そんな僕の期待は彼女の次の言葉で一蹴された。

 

「テレポートが使えるようになったの!」

 

(テレ……………なの?………なんだぁ………)

 

もし今、鏡を見たとすれば、僕はどれだけ情けない顔をしているのだろうか。

元の姿に戻れるのは、まだまだ先のことらしい。

 

「テレポートって、あの、超能力漫画とかに出てくる、ぱっぱって移動できる?」

 

「うーん…ちょっと違うかな。試してみたけど『物』しかできないのよねー。」

 

「じゃあ、まなちゃん自身はテレポートできないってことなの?」

 

「残念だけど、そゆことね。

 でも、面白いでしょ? これからやってみるから、ようく見ててね☆」

 

「それって、危なくないんだろうね?」

 

「ぜんぜん平気!

 じゃ、これをテレポートしてみるね!」

 

まなちゃんが手に持っているのは、カエルのキャラクター消しゴムのようだ。

確か、ケ○ッピとかいうやつだと思う。

普通の消しゴムに絵が付いているだけの物と違い、それは、ちゃんとコミカルな

カエルの形をしている。

その消しゴムを僕の前の床の上に置くと、彼女は少し離れた場所に立ち、

何やら呪文を唱えた。

 

『しゅっ』

 

一瞬の出来事だった。

軽い摩擦音とともに、カエルの消しゴムが見えなくなった。

 

「んっ…」

 

同時に、まなちゃんが微かな声を漏らした。

 

「ふ〜っ…」

 

そして、大きく息をつく。

 

(うわぁ…マジか!?)

 

彼女はテレポートと言っているが、せいぜい1メートルくらい飛ぶだけだろうと思っていた。

ところが、ちっぽけな消しゴムとはいえ、こんなに見事に消えるとは。

一応、賛辞を送っておいた方がいいだろう。

 

「おぉ。すごいじゃないか!」

 

「えへへぇ。まあね☆」

 

まなちゃんは得意げに胸を張る。

 

(ははは。半人前のくせに。)

 

僕は、そんな彼女に苦笑する。

そして、いつも彼女にいたぶられている仕返しをしてみたくなった。

消しゴム程度なら出来るが、もっと大きなものならどうだろうか?

 

「まなちゃん。次はほら、そこにあるタンス。それをテレポートしてみてよ。」

 

「え? あれ? …あれは、ちょっと…」

 

思ったとおり、まなちゃんは困惑している。

 

(うぉぉ! やった! めったにない勝利だっ!)

 

心の中で指を鳴らした。

 

「あ、なんだ。ダメなの? なんだぁ、消しゴムだけかぁ…」

 

僕はわざと大げさにガッカリして見せた。

 

「う〜ん…やって出来なくはないのよ。小さくする魔法をいっしょに使えばね。」

 

「はは。やっぱり、大きいのは無理なんだね。」

 

「それに、タンスは角が当たって痛いから…」

 

「そうとも! 痛いんだよ………って、何で痛いの?

 そういえば… まなちゃん。さっきの消しゴム、何処へテレポートしたんだよ?」

 

すっかり意識から外れていたが、さっき僕の目の前から消えた「消しゴム」は

いったいどうなってしまったのか。

 

「うふふ… どこだと思う?」

 

「わかんないよ。教えてよ?」

 

「やっくん、自分で確かめなよ。」

 

「自分で?………あ、やっぱり知りたくないかなぁ?」

 

「もう遅い! いくよっ!!☆」

 

僕は、悲鳴をあげる間もなく、その場から消え去った。

 

「あうっ…」

 

飛ばされてしまった僕にはわからない事だが、

まなちゃんは、消しゴムの時より大きな声を漏らしていた。

彼女の頬が紅潮し、目つきもとろんとしてきた。

 

一方、僕は、熱くてぬるぬるした柔らかい壁に囲まれた狭い場所に居た。

そこは、僕がよく知っている場所だった。感触と臭いでわかる。

 

(わあ〜っ! ここは!!)

 

僕は、慌てて出口を探して藻掻いた。しかし、テレポートされたために

方向がわからないので、どっちに進んでいいのかわからない。

そんな僕の手に触れる物があった。

 

(これは?… 消しゴム!! カエルの。)

 

その時、周囲の壁が波うち、僕の身体を押し流し始めた。

 

『ぷりっ! ぽとっ…』

 

次の瞬間、狭い所を通り抜け、空中に放り出された僕は、

何か白いものの上に落ちた。どうやらティッシュペーパーのようだ。

仰向けに転がった僕のすぐ真上に、視界を覆い尽くすほどに巨大な桃が浮いている。

その真ん中には一抱えもありそうな大きな菊が見える。

その菊がぴくぴく震えながら広がってきている。

 

『むりっ…』

 

菊が真ん中から開いて、カエルの頭がのぞいた。

 

(うわっ! 危なっ!)

 

『ぷりりっ! ぽてっ!』

 

僕が転がって避けると同時に、

カエルの消しゴムは落ちてきた。

 

「くふふっ。やっくん、何処だったか、わかったぁ?」

 

まなちゃんのあくまで無邪気な声が響き渡った。

 

∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽

 

「ふーん。やっぱり自分自身はテレポートできないんだね。」

 

まなちゃんのテレポートは、縮小魔法と同じく、不完全なものだった。

僕は、腸粘液でべとべとになった身体をウエットティッシュで拭きながら彼女の話を聞く。

 

「そうなのよねぇ。」

 

「その上、一方通行だというわけだね。」

 

「うん。あたしの外にある物を、あたしの中に向かってテレポートできるだけなのよ。」

 

(それで、内側から外側へ向かってはテレポートできないから、

 僕はいつものようにお尻の穴から出てこなければならなかったと…)

 

「それじゃあ、例えば、ベッドの上にある枕を机の上にテレポートしようとしても…」

 

「あたしの体の中のどこかにしかできないみたいなの。

 それに、ちゃんとその場所に入るように小さくなっちゃうみたい。」

 

「それで、角張った硬い物をテレポートすると『痛い』というわけか。」

 

「うん。テレポートした時はそうでもなかったんだけど、

 出すときにすごく痛かったの。血が出ちゃうかと思ったわ。」

 

やっぱり試してみたらしい。まなちゃんの好奇心にも困ったものだ。

それにしても、これだけ制約の多いテレポートが何かの役に立つのだろうか?

彼女ももう少し修行すれば、もっとまともな魔法が使えるようになるのだろうが…

 

しかし、未熟な技には絶えず大きなリスクが伴うものだ。

まなちゃんが調子に乗らないように釘をさしておいた方がいいかもしれない。

 

「だけど、まなちゃん。

 テレポートした物が間違って変なところに入り込んじゃったら大変だよ。

 心臓とか脳とかが傷ついたら死んじゃうことだってあるかもしれないんだからね。」

 

「あ、それは大丈夫みたい。一方通行だけど狙いは正確なのよ。

 物のある場所がちゃんとわかっていれば百発百中で思った場所に

 テレポートできるんだから。入る場所に合わせて自動的に小さくなるし。」

 

「だったら、まあ、いいんだけどさ。まなちゃんに怪我とかして欲しくないからね。」

 

何となく僕の口をついて出た言葉に、まなちゃんは思わぬ反応を示した。

 

「やっくん。あたしのこと心配してくれてるの?

 ね? ね? もしかして、あたしのこと愛しちゃった?」

 

「な! なんでそうなるんだよ。

 それは…その…あれだよ。ほら、ぼ、僕が困るからだよ。

 まなちゃんが怪我したりして動けなくなったら、誰が僕の世話してくれるのさ。

 まあ、これがなきゃ絶対ダメみたいな不自由はないだろうけど、例えばお風呂とか…」

 

「なぁんだ。つまんないの…」

 

(あれ? 反撃がない??)

 

いつもの彼女なら『何よ!? あたしのこと嫌いだっていうの?』とか何とかイチャモンを

つけて、僕をオモチャにして苛める口実にするはずだが、今日は嫌にあっさりしている。

まなちゃんは本気でガッカリしているみたいだ。

そんな彼女を見てしまうと、次のセリフは言葉にならなかった。

 

(それに、もしも、まなちゃんがいなくなったら、

 僕は一生コビトのまま生きていかなければならないからね。困るんだ。)

 

心の中でつぶやいてみる。それは確かに僕の本音のはずだった。

僕は必要に迫られて、やむなく彼女と一緒に暮らしている…はずだ。

なのに、何故だか彼女を少しでも落胆させた事に対する自己嫌悪の感情が湧いてくる。

なんとなく、彼女のことが心配という気持ちも無くはないような気がしてきた。

 

半分嘘になるかもしれないが、この後が気まずくなっても困るので、

フォローしておくことにした。

 

「ま、まあ、『愛してる』とはいかないけど、まなちゃんのことは好きだよ。」

 

「やっくん…本当に?」

 

「あ、ああ。本当さ。」

 

「あたし、ときどき意地悪してるのに?」

 

「う…あれは、ちょっとイヤかな?」

 

「ああっ! やっぱり、あたしのこと嫌いなのね!?」

 

「いや、嫌いじゃない。嫌いじゃないって!」

 

「じゃあ、本当に好きなのね?」

 

「本当だって!」

 

「これからも、やっくん、テレポートしていい?」

 

「いいとも!………って、ええっ!?」

 

「わーい! また遊びの種類が増えちゃった〜っと☆」

 

「ちょっとぉ〜 まなちゃん…」

 

「やっくん。さっき、してもいいって言ったよね? まさか、ウソつかないよねぇ!?」

 

「あうっ………まぁ、ほどほどに…ね…」

 

まなちゃんの鋭い視線に見据えられたコビトは、もう逃げられない。

ヘビに睨まれたカエルとは、このことだろう。

僕には「安らぎの日」は当分訪れてくれないらしい。

 

(ちょっと同情するとすぐこれだ。なんか損した気分…)

 

それはそれとして、これで曲がりなりにも、

まなちゃんは縮小魔法とテレポート能力を手に入れたわけだ。

 

(縮小とテレポート…か…)

 

これから彼女が様々な魔法を修得するにつれて、便利な能力を手に入れる反面、

僕だけでなく彼女自身にもそのリスクがのしかかってくるのかもしれない。

まなちゃんが魔女っ子の道を進んでいくのが果たして良いことなのか。

進むとしたら、どのようにするべきなのか、真剣に考えていかなければならないだろう。

成り行きとはいえ、僕と彼女は一緒に暮らしているのだし、

年齢で言えば、僕から見て彼女は10歳以上も年下の妹のようなものだ。

彼女を心配し助言する…たぶん、それが今の僕の役目なのだろうから。

少し深刻な気分の僕の耳に、まなちゃんののーてんきな声が聞こえてくる。

 

「ああ、でも、悔しいなあ!

 あたしが自分で自分をテレポート出来たら、

 学校に遅刻しそうになったときとか便利なのになあ。

 それに、なんだかカッコ良くない?『エスパー魔奈』ってね☆」

 


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