魔女っ子(予定)少女 まなちゃん
7.ミキちゃんのシャワー
翌日から、僕は自分の居住スペース作りを開始した。
作る場所には気をつけねばならない。
まなちゃんの部屋へは園子さんも入って来るだろうし、
見つかりにくく、しかも安全な所に作らなければならない。
まなちゃんの勉強机の裏あたりがいいだろう。電気も引きやすいし。
僕は、まなちゃんに頼んで材料や工具を調達した。
粗大ゴミ置き場へ行き、まなちゃんの魔法でめぼしい物を縮めて持ち帰った。
廃品はリサイクルされているといっても、まだまだ使える物がたくさん捨てられている。
粗大ゴミから手に入らなかった物は、僕の貯金で買った。
僕のキャッシュカードは、僕と一緒に縮められていたが、
カードは無生物なので、まなちゃんがカードだけに集中して呪文を唱えると
元に戻すことが出来た。
買った物は、やはりまなちゃんの魔法で縮めた。たくさんの買い物でも楽々である。
「う〜ん! ちょっと便利!!」
ついでに、僕の着替えも何着か手に入れた。
1週間ほどで結構立派なスペースが出来上がった。
ただ、このスペースにはトイレ、お風呂、流しなど、水まわりの物は付いていない。
まなちゃんの部屋まで水道と下水の配管を工事するのは、
僕のこの小さな体では何か月もかかってしまうだろうから、これは諦めた。
その代わり、ここには広い作業場がある。
ちょっとした工場と言ってもいいくらいの工具や工作機械を備え付けている。
それらのほとんどは粗大ゴミだった物だ。
僕は、これからそこで様々なアイテムを作っていこうと考えている。
この小さな体で生活するハンデを補うためのアイテムだ。
ところで、アイテムの製造に関して、今まではちょっと実現不可能だった
画期的な製造方法が使えるのに気付いた。
アイテムを造るとき、完成品より大きなサイズで造っておいて、
それを、まなちゃんの魔法で縮めれば、
機能は同じで超小型のアイテムを造ることが出来るのだ。
これはすごいことだと思う。
学会にでも発表できたら、ノーベル賞ものかな?
とも思ったが、物体縮小の原理を説明できないので話にならない。
僕は、家のあちこちに色々な仕掛けをして回った。
危険を回避するための物。僕の移動を助けてくれる物。
もっとも、園子さんには見つからないようにしなければならないので、
あまり派手な仕掛けはできないのだが…
まなちゃんの家は3LDKのマンションで、
ありがたいことに、バリアフリーの思想で作られていた。
日に何度かお世話になるトイレは、まなちゃんの部屋から近かったので助かった。
といっても、コビトの僕だと普通に歩いたとして5分はかかるが…
いろいろ仕掛けをしたおかげで、まなちゃんと一緒でなくても、
ある程度安全にトイレが出来るようになった。
これまでは、まなちゃんが学校へ行っている間の用足しは命がけだったのだ。
ただし、お風呂については、いまだに、まなちゃんと一緒だ。
まなちゃんが、一緒に入りたがるからだ。決して僕の希望でではない…と思う。
食事は大抵、まなちゃんが園子さんの目をかすめて用意してくれるが、
時々は自分で台所あさりに出かけることもある。
だんだんと、勝手知ったるなんとやら…になりつつある。
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ある日、珍しく、まなちゃんの友達がやって来た。
学校の宿題で、二人一組で地域の産業を調べることになったのだという。
高橋ミキちゃんというその娘は、ちょっと色黒だが、
セミロングの髪がサラサラしていて、健康そうな美少女だ。
あまり堂々と観察していると、ミキちゃんに僕の存在を気付かれて
しまうかもしれないので、僕は、早々に引っ込んだ。…が、
自分のスペースでアイテムを作成するにしても音が出てしまうのでダメだし、
じっと隠れているのも暇だったし、少し気にもなっていたということで、
僕は、ベッドの下の奥の方から二人の様子を見ていた。
ベッドの前を2組の足が動き回っている。宿題をする準備をしているようだ。
やがて、部屋の真ん中に置かれたテーブルで、少女たちは作業を始めた。
僕の位置からは、手前に座っている、まなちゃんのお尻しか見えない。
白い靴下を付けた足先が揃って並び、
薄い紺色のキュロットスカートに包まれたお尻に敷かれている。
時々、まなちゃんは立ち上がって机の方へ行く。
その時だけミキちゃんが見える。やっぱり、見えるのは腰から下だけだ。
ミキちゃんは、ちょうど膝小僧くらいまでの長さの、水色のスカートを穿いている。
スカートの生地が薄いので、その中も明るくてよく見える。
ちょっと色の濃い太ももに挟まれた純白のぱんつが眩しい。
もちろん、二人の会話もしっかりと聞いている。
ミキちゃんは、まなちゃんに比べて勉強は得意なようだ。
(何だよ〜。
宿題、ほとんどミキちゃんがやっていて、
まなちゃんは見てるだけみたいじゃないか。
ミキちゃんって、お人好しタイプなんだな。
それとも、まなちゃんの人使いが上手なのかな?)
どうも、後者が正解のような気がする。
僕も、まなちゃんに、いいように使われてるのだ。
どのように使われているかというと…
それを話し出すと長くなるから、また今度にしよう。
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二人の女の子の作業を、ただ見ているのにも飽きた僕は、
自分のスペースへ引き上げようとしたが、
その前にトイレへ行っておくことにした。
ミキちゃんに見つからないよう慎重に、チョロチョロと壁際を移動し、
ドアの下の隙間をくぐり抜ける。
(こりゃ、まるでネズミだな?)
薄暗い廊下を歩きながら、僕が自分のことをそう思ったその時である。
僕は、体全体に電流が走ったように感じて、ひっくり返った。
「ぎゃっ!?」
しびれはすぐに収まったが、僕はなぜか立って歩くことが出来なかった。
いや、立って歩けなくはないのだが、妙にバランス感覚が悪くて歩きにくい。
「なんだよ? どうしちゃったんだ?」
どうしようもなく、はいつくばりながら前へ進んだ。
2、3分経つと、僕の体は何事もなかったかのように、
普通に立って歩くことができるようになった。
(いったい何だったんだ?)
僕は思ったが、それ以上深くは考えなかった。
後でわかることだが…
もし、この時、その場所が明るくて、前に鏡でもあったなら、
僕は大パニックに陥っていたことだろう。
僕の体には著しい変化が起きていたのだから。
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トイレに着いた僕は、ポケットからリモコンを取り出し、キーを叩いた。
『ヴー…』
微かな音を立てて、便器の後ろ側へロープが下りてくる。
ロープの先のわっかに足をかけてロープを握る。
少しすると、自動的にロープが巻き上げられると言う仕組みだ。
まあ、簡易エレベーターといったところだ。
便器の後部の上に到着した僕は、便座の上をぐるっと歩いて、
便器の前の方に移動した。
やっぱり、小便は便器の正面に向かってするものだ。
(自分でも変なとこにこだわるとは思うけどね…)
今は便器のふたが開いているから移動は楽だが、
これが閉まっていたら大変だろう。
幸いなことに、河合家では、便器のふたは開けたままにしてある
ことが多いので、助かる。
便器の前側に着いた僕は、小便を済ませた。
そして、水を流すため、ポケットのリモコンを取り出そうとした。
便器の水もリモコン操作できるように改造してあるのだ。
と、その時である。誰かが廊下を小走りにやってくる足音が聞こえた。
(おっと、誰だ? まさか…)
大慌てで便座の影に身を寄せ、それを待ち受けた。
間もなく、乱暴にトイレのドアが開いた。
それは予想どおり、まなちゃんの友達のミキちゃんだった。
(やばい!!…)
僕は、便器と便座の間の隙間に身を隠した。
「きゃーっ! もれちゃう、もれちゃう〜!!」
ミキちゃんはそう口走りながら、便器に背を向け、
手早くスカートをまくり上げ、ぱんつを下ろした。
もちろん、僕はその一瞬を見逃さなかった。
(う〜ん… クマさんのバックプリントか。
こういうのも、まあ悪くはないよなぁ…
さっきテーブルの下で見たときは後ろ側まで見えなかったからな。)
僕がバカなことを考えていると、よほど我慢していたのだろう、
ミキちゃんは、間髪入れず一気に便器に座ってきた。
『ガターン!!!』
大きな音を立てて、便座と便器がぶつかり合い、隙間の空気が激しく振動した。
(うわわ〜っ!)
僕はその風にあおられ、便器の縁から転げ落ちた。
便器の中へ…
便器内部の滑らかな斜面は下へ行くほど角度が急だ。
僕はスピードを増し、そのまま一気に溜まり水の中へ頭から突っ込んだ。
『コロコロ… ぽっちゃん…』
………「ぷはぁっ!」
僕は便器の溜まり水の真ん中あたりに浮かんでいた。そのまま立ち泳ぎをする。
とりあえず、落ちた場所が便器の中だったのは幸いだったかもしれない。
便器の外に落ちていたら、硬いタイルに叩き付けられて大怪我していたはずだ。
ただ、危険が続いていることには変わりない。
ぐずぐずしているとトイレに流されて死んでしまう。
上空にミキちゃんの巨大なお尻が見える。
そのお尻で、便器はぴったりと蓋をされている。
僕は、便器の中に閉じ込められてしまったような感じだ。
「あれ? なんか聞こえたみたいだけど?」
落ちる瞬間に思わず漏らした僕の声を、ミキちゃんは聞きつけたようだが、
疑問に思うよりも、とにかくオシッコがしたかったミキちゃんは、
それを無視することにしたようだ。
僕の存在がバレなかったのは良かったが、大変なのはこれからである。
僕は、ミキちゃんに座られて薄暗くなった便器の中を必死に泳ぎ、
便器の後ろ側へ向かった。そこには例の安全対策が施してあるのだ。
僕が泳ぎ始めて間もなく、僕の頭上はたいへんな土砂降り…いや
滝のような水流が襲ってきた。
ミキちゃんのオシッコは、一度便器の斜面にぶつかってから飛び散っているので
これで済んでいるが、もし直撃されたらどうだろう。
僕は便器の溜まり水の底深くに押し沈められてしまう。
そうなったら、例の仕掛けは役に立たない。
僕はミキちゃんのオシッコの中で溺れ死ぬことになる。
心臓が破裂するほど必死で泳ぎ続けた結果、
幸いにも大きな危険もなく、僕は目的地である便器の後ろ側へたどりついた。
途中、何度かミキちゃんの薄塩味のオシッコを飲みながらではあるが…
だが、まだ安心は出来ない。
ミキちゃんはオシッコの途中であるとはいえ、水を流さないとも限らない。
子供はそうでもないかもしれないが、普通、女性は水を流しながらトイレを使う。
便器の中に落ちた小さなコビトなど、とっくに水と一緒に底の穴に吸い込まれて、
下水パイプの中で溺れ死んでしまっている可能性の方が高いのだ。
「ゲホッ、ゲホ!」
僕はむせかえりながらも、急いでリモコンを取り出して操作する。
(リモコンを防水にしておいて、ホントに良かった。)
上の方から、するするとロープが下りてくる。
焦りまくっている気持ちとは反対に、その動きはやけに遅く感じられる。
ほんの数秒のはずなのに、それが何分間にも感じられた。
上に向かって伸ばした僕の手指が空を切り続けている。
(くそー…まだか? くうっ…あと少し…)
やっと手が届いた。ロープの端を全力で掴む。
これをしっかり握っていれば、便器の『小』の水流くらいなら耐えられる。
「ゲホ! ぷふーっ…」
なんとか間に合ったようだ。
命綱を得て、一安心した僕は、ミキちゃんを見た。
といっても、お尻と太ももの一部、それから、
滝を放出している秘丘の下部分しか見えない。
それからすぐに、ミキちゃんはオシッコを終えた。
割れ目に透明な滴が光っている。
ずいぶん長いオシッコだった。
きっと、まなちゃんにコキ使われて、
オシッコを我慢しながら作業をしていたのだろう。
しかし、言うなれば、その「オシッコの長さ」のおかげで、僕は助かったのだ。
あと少し、ミキちゃんのオシッコが早く終わっていたら、
今頃僕は、真っ暗な管の中で、汚水に沈んで息絶えていたかもしれない。
(さて…と、本当に流されないように、しっかりロープを握ってなくちゃな!)
僕は、すぐにやって来るであろう、トイレの水流に耐えるべく、身構えていた。
ところが、オシッコは終わったはずなのに、
ミキちゃんは水を流すどころか、立ち上がろうとさえしない。
そういえば、アソコをトイレットペーパーで拭いてもいない。
ミキちゃんの割れ目は、オシッコで濡れたままだ。
(いつかの、まなちゃんみたいに余韻を楽しんでいるとか?)
まさか、そんなことはないだろう。あの時は特殊な状況だったのだから。
(おおい! 早く出てってくれよ! 僕が出られないじゃないか?)
僕は、心の中で叫んだ。そのとき…
「ん…」
ミキちゃんが小さくうなった。
「え?」
嫌な予感がした。
ミキちゃんのうなり声に続いて、ミキちゃんを見上げる僕の目に、
ひくひく震える、ミキちゃんのすぼまりが映った。
(これは…やばい!『大』が来る!)
誰でも経験があるだろうが、『小』をしていると『大』もしたくなることがある。
僕は慌てて握っていたロープを体に巻き付け、しっかりと結び、固定した。
トイレの『大』の水流が襲ってきたら、ロープを握っている程度ではもたない。
『ぷっ… ぷう〜っ…』
やがて、ミキちゃんの肛門は少しづつ皺を伸ばして広がっていき、
その中心から、茶色の物体が顔をのぞかせた。
『むりっ… ぷぷっ… むりりっ…』
穴から出ている部分が、だんだん大きく長く長くなっていく。
やがて、それは、自らの重さに耐えられず、根本で切れた。
ミキちゃんの肛門がひくっと震えると同時に、
大きな影が空を切って落下してきた。
『とぽん!』
音の表現はこの程度のものだろう。
僕から見れば巨大少女だが、ミキちゃんは普通の小学生の女の子なのだから。
怪獣とは違う。
とはいえ、電柱の2倍ほどの太さに見える固形物がすぐ近くへ落下する迫力と
恐怖感は相当のものだ。
僕に向かって、ミキちゃんのオシッコで薄黄色に色づいた便器の水が
大波となって押し寄せてくる。
「むはっ! く…くさい!!」
美少女のうんちでも、やっぱり、うんちはうんちである。
それに、便器の中の空気は入れ換わりにくいので、臭いはどんどん強くなる。
僕は、みきちゃんのものの臭いで、頭がくらくらしてきた。
『ちょぽっ』
内部の固まりを排出し終わると、ミキちゃんの肛門は、
ゆっくりと閉じていき、最後にキュッと締められた。
『カラカラ… ビリッ!』
『カサカサ… コソコソ… ポイッ』
『カラカラ… ビリッ!』
…
ミキちゃんは、大事な部分とお尻を拭くと、
そのトイレットペーパーを便器の中へ落とし込んだ。
言うまでもなく、その先には僕が居る。
僕は、ミキちゃんのもので汚れたトイレットペーパーで覆われていく。
トイレットペーパーで目隠しされた僕には、上の状況が何も見えなくなった。
不意に、周りがぱっと明るくなる。ミキちゃんが立ち上がったのだろう。
『どっ・ジャ〜〜〜ッ!!!』
やがてミキちゃんは、コックをひねって『大』の水を流すと
ご丁寧にトイレのふたを閉めて出ていった。
僕は、真っ暗に近い便器の中で、周りで渦巻く『大』の水流に耐えた。
『コポッ…コポ…』
ロープを掴んだとき、さっさと上に登ってしまえば、
こんな苦労はしなかったということに気付いたのは、
水流が収まり、僕の周りに再び静けさが訪れた時であった。
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「嫌あ〜〜〜っ!!!」
次の日の朝、僕は、まなちゃんの悲鳴で目が覚めた。
「なんだ? なんだぁ?」
僕は、起きて周りを見回したが、真っ暗だ。
まなちゃんは、まだ布団の中に居るのだろう。
彼女のぱんつの中に居る僕の周りが暗いのは当然だ。
悲鳴の後、すぐに地震が起こる。
まなちゃんが、起き上がったのだ。
その直後、僕の周りは急激に明るくなった。
眩しくて、何も見えない。
「やっくん! 居たぁ… ああ… よかったよぅ…」
まなちゃんの声が聞こえてくる。
しばらくして、明るさに目が慣れてきた僕が見上げると、
まなちゃんが、両手でぱんつのゴムを持ち上げて、中に居る僕を見下ろしていた。
僕は、まなちゃんの目が涙で潤んでいるのに気付いた。
「ど、どうしたの? まなちゃん? 怖い夢でも見たの?」
僕は、サクランボ模様のぱんつの中から、そう問いかけた。
まなちゃんは、少しの間無言で見下ろしているだけだったが、
やがて、ぱんつの中に手を入れて、僕を掴み上げた。
そのまま、僕を顔へ持っていき、頬に擦り付けながら言った。
「うん… ちょっとね… 怖いっていうか………」
「いったい、どんな夢なのさ? よかったら話してみなよ。」
「…う、うん…」
まなちゃんは暫く黙ったままだったが、やがてゆっくりと話し始めた。
「あのね… 昨日、ミキちゃんが来て、一緒に宿題をやったでしょ?」
「うん。そうだったね。」
「それで、夢の中でも同じ宿題をやってたんだけど。
相手がミキちゃんじゃなかったの。
クラスの中でも意地悪な恵里ちゃんだったの。」
「意地悪? 夢の中で、その恵里ちゃんに苛められたのかい?」
「まあね。やっくんが恵里ちゃんに見つかっちゃうのよ。」
まなちゃんが話してくれたのは、このような内容だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
僕は、恵里ちゃんに見つかってしまい、つまみ上げられた。
恵里ちゃんは、親指と人差し指の間でジタバタしている僕を見ながら言った。
「ねえ! まなちゃん。これは何? 動いてるわ!! 可愛い…」
「ええっと… そのう… お友達っていうか… お兄さんっていうか…」
「ねえ! まなちゃん。このコビト、あたしにちょうだい!
あたしの持ってるお人形の中から、好きなのあげるから。ね?」
「ええっ!? だ、だめよ! やっくんは、あたしの大事な…」
「へえ。やっくんって言うんだ。」
恵里ちゃんは、僕を手のひらに載せ、人差し指でつついて転がしながら弄んでいる。
「まなちゃん! あたしにくれないのなら、
このコビトさん、どうなっても知らないよぉ…」
そう言うと、恵里ちゃんは、僕を床の上に置いて、足を大きく持ち上げる。
デニム地のミニスカートの奥に、ブルーの小花模様のぱんつが見えた…次の瞬間、
恵里ちゃんは勢いよく足を踏み下ろした。
僕を踏み潰そうとしている!
赤いストライプの靴下が、僕に向かって猛スピードで迫ってくる。
「うわあーっ!!!」
「きゃぁーっ!! やめてぇ!!!」
僕の叫び声に、まなちゃんの悲鳴が重なる。
「!?…」
「どうする? まなちゃん。 コビトさん、このまま踏みつぶしちゃおっか!?」
僕は、まだ潰されてはいなかった。
恵里ちゃんの足の裏の土踏まずの下に押さえ込まれた格好になっている。
「う…ぐぐ…」
床ワックスのにおいと恵里ちゃんの足のにおい、
そして強大な圧力が僕を支配している。
(まなちゃん…どうするんだ?)
恵里ちゃんに踏みつけられている僕からでも、
まなちゃんの表情を辛うじて伺うことができる。
まなちゃんは、しばらくうつむいていたが、やがて顔を上げた。
なんだか、恐い顔をしている。
突然、まなちゃんが無言のまま、恵里ちゃんに向かって突進した。
「きゃっ?」
不意を突かれて、恵里ちゃんは尻餅をついた。
まなちゃんは、恵里ちゃんの足の裏から解放された僕を掴むと、
そのまま家を飛び出した。
数分後、まなちゃんは、僕たちが初めて出会った公園に来ていた。
「やれやれ。やっと逃げ出せたなぁ。
でも、これからどうしようか…まなちゃん…」
それに対する、まなちゃんの声は悲痛なものだった。
「もうだめよ…」
「え?」
「もうだめだって言ったのよ!
恵里ちゃんに知られちゃったんだもの。
恵里ちゃんは欲しい物は絶対に諦めないんだもの…
これから、いろいろ意地悪されて…
やっくんも、絶対取り上げられちゃうよ…」
「何とかならないかな? 先生やお母さんには…言いつけられないよな…」
僕はその時、まなちゃんの目が普通でないのに気付いた。
「まなちゃん?」
まなちゃんが、ゆっくりと言葉を出す。
「やっくん… あたし、やっくんが大好きだよ…
誰にも渡したくないよ… 恵里ちゃんにも… 誰にも…」
「そりゃ、どうも…」
「それで…ね。
やっくんを誰にも取られないようにする方法…あるんだけど…いいかな?」
(え? さっき『もうだめ』って言ってたのに…)
僕は疑問に思ったが、対策があるというのならそれに越したことはない。
「ものは試しだよ。やってみようよ。」
僕がそういうと、まなちゃんが弱々しく微笑んだ。
ただし、微笑んだのは口元だけで、目はいっちゃったままである。
「そう… やっくんがいいっていうのなら…」
まなちゃんは僕をつまみ上げると、呪文を唱えた。
僕の体は2センチにまで縮んだ。
そのまま、まなちゃんは僕を顔の方へ持っていく。
「うわっ!? ちょっと、まなちゃん? いったい何を…」
「やっくん。あたしたちはこれから、ずっと一緒よ…」
そうつぶやくと、まなちゃんの口が大きく開いた。
それは直径2メートル余りに見える口腔。
身長2センチのコビトの僕から見れば、確かに大きいといえば大きいのだが、
むしろその大きさよりも底知れない深さを感じて、背筋が寒くなった。
(え? ま…まさか!?)
唾液がキラリと光って糸を引き、陽の光を浴びた白い歯が氷山のように輝く。
そして、巨大な舌が突き出された。
まなちゃんが何をしようとしているか、はっきりとわかった。
「まなちゃん!!」
そう叫んだ時、既に僕は、まなちゃんの舌の上に載せられていた。
まなちゃんの舌は、僕を絡め取ると、薄暗い口腔内に僕を引きずり込んだ。
唇がゆっくりと閉じられ、僕は暗黒に包まれる。
(な、なんてこった! まなちゃんは僕を食べる気だ!)
まなちゃんは、舌を使って、口の中で僕を転がした。
ざらざらした舌の味蕾の感触。
それとは逆に、ぬめぬめ、ねっとりした頬粘膜。
硬くてつるっとした硬口蓋。
少女は、コビトの味や感触を楽しんでいるかのように、僕を舐め続けた。
僕は唾液まみれになって、まなちゃんの口の中をあちこち転がりまわった。
僕は必死で藻掻くが無駄だった。
まなちゃんの巨大な舌は、僕の動きを軽く押さえつけてしまう。
やがて、僕は軟口蓋へと押しつけられ、唾液と一緒に喉の方へと送られていった。
その先に、奈落が続いているのを感じる。
次の瞬間、冗談であって欲しいという僕の最後の望みは、無情にも断ち切られた。
『こくっ』
ついに僕は、まなちゃんに生きたまま呑み込まれてしまった。
食道を下る間も、僕は無駄なあがきを続けた。
(ああ… やっくん… ぴくぴくしてる…
あたしの喉の中を… 通っていく… ぴくぴくって…)
まなちゃんは目を閉じて、食道の中で藻掻くコビトを感じていた。
コビトの感触が下へ下へと移動していくのがよくわかった。
やがて、その感触が消える。
「んっっ………もう、おなかの中に入ったみたい…
……やっくん………もう少し大きくしてあげるね…」
まなちゃんは呪文を唱え、僕を10センチの大きさにした。
これくらいの大きさになると、いかに感覚の鈍い胃壁でも
コビトのあがきを感じることができる。
「ああ……まだ動いてる………あたしのおなかの中で暴れてる………」
まなちゃんは目を細めながら、手で胸の下あたりをさすった。
「…やっくん…苦しいのね?………ちょっと我慢して…すぐ楽になるからね…」
お腹の中で蠢く感触がだんだんと弱々しくなっていく。
「やっくん………
うふふ……やっくんは、これから、あたしのおなかの中でとろけて、
あたしとひとつになるの… もう、誰にも渡さないわ… うふふふ…」
まなちゃんは、お腹にあてた手を見つめたまま立ちつくしていた。
とても幸せそうな表情をして…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「…とまあ、こんな感じの夢だったのよ。」
まなちゃんは、白いプリーツスカートを穿きながら、そう締めくくった。
話しながら着替えを済ませつつある。
さっきまで涙目だった娘が、もう、あっけらかんとしている。
まなちゃん自身については、心配する必要はなさそうだ。
しかし、今度は僕の方が青くなった。
夢とはいえ、こんな内容を聞かされて平常心ではいられない。
「す…すごい夢だったんだね…
それにしても、夢でよかったよ。
僕、まだ死にたくないよ。あははは…」
僕が、そう言うと、まなちゃんがもじもじと言った。
「それが… あのね…」
「え? 何? まなちゃん。」
何か言いにくいことでもあるのだろうか?
やがて、まなちゃんは僕を掴んで口元まで持っていき耳打ちした。
「あのね… あんな夢、見ちゃったら、
ホントに食べてみたくなっちゃったのよね☆ やっくんを…」
「え!?… じょ… 冗談だよね?」
まなちゃんは、僕を掴んだまま離さない。
「ね? 食べちゃってもいい?」
巨大な熱い舌が僕をベロリと舐めた。
僕は大いに慌てた。
「わあ〜っ! まなちゃん!!
そ、そうだ! まなちゃん、朝御飯、まだだろ?
おなかが空いてるから、変な考えが浮かぶんだよ!」
「お願い! やっくんを飲み込んでみたいのよ!
やっくんが好きな『焼きそば』と一緒に食べてあげるからぁ☆」
まなちゃんの唇が僕の視界の大部分を占めてパクパク動く。
恐ろしさで、そこから目が離せない。
「『焼きそば』は大好きだけど、いっしょに食べられるのは嫌だぁ!!!」
人生まだまだ22年。やり残したことは山のようにある。
こんな所で喰われて死にたくはない。たとえ相手が美少女でも…
僕は、まなちゃんの手の中で必死に暴れた。
すると突然、まなちゃんが噴き出した。
「ぷっ! くくくくくっ…」
「!? まなちゃん?」
僕は、まなちゃんを凝視した。
「…なんてね☆ びっくりした? 本気じゃないよ〜ん!」
「…は…な…なんだ…そうか… はあ〜っ! まなちゃん、意地悪だなぁ…」
「でもね、食べちゃいたいってのは本当…
だって、やっくんって、小さくて可愛いんだもん☆」
「ええっ!?」
「だけど、食べちゃうと、やっくん、死んじゃうもんね。
そんなこと出来ないよね! あたし、普通の御飯で我慢するよ。」
まなちゃんは、恐ろしげな事をしれっと言う。
どこまで本気なのだろうか…
「じゃ、あたし、朝御飯食べてくるね。
後でやっくんにも持ってきてあげるから、おとなしく待っててね。」
そう言い残して部屋を出ていくまなちゃんを見送りながら、僕は考えた。
(食われる… 僕は、まなちゃんに食われてしまう…
今朝、まなちゃんが見た夢のような状況に陥ったなら…たぶん…間違いなく…)