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《………ピ……ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピ・ピ・ピ》
(ウルサイなぁ。いったい何の騒ぎだよ。)
嫌な感じだった。
けっして好きになれない、イライラする音。
(ん? これ、目覚まし時計の音か?
そうか、やっと朝が来たんだ。もうすぐ開放されるぞ。)
僕は、今、まなちゃんの中に居る。
昨夜から彼女にタンポンとして使われたまま膣の中に閉じ込められている。
普段は癇に障る目覚まし時計の音だが、今日のそれは僕を自由にしてくれる
天の鐘である。
(あれっ? だけど変だな… なんで目覚ましの音が聞こえるんだ?)
僕が今居る場所は、人間のお腹の中だ。周囲は分厚い肉の壁で覆われている。
外の音がこんなに鮮明に聞こえるはずがない。
《ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピ・ピ・ピ》
まだ聞こえている。
(ああ。そうか。これはテレパシーだ。)
実際に目覚ましの音を聞いているのは、まなちゃんだ。
彼女がその音をテレパシーにして僕へ転送しているに違いない。
軽い揺れを感じた。
《ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピッ》
音が止まった。
まなちゃんが身をよじって手を伸ばし、目覚し時計を止めたものと思われる。
僕は彼女の体内に居るから、彼女の動きがなんとなくわかる。
《ま・な・ちゃーん! お・は・よ・うー!》
僕は彼女にテレパシーで呼びかけた。
彼女は寝ぼすけだから、テレパシーも『大声』で出す必要がある。
《おーい! まなちゃーん!》
反応がない。
何度も呼びかけてみたが、やはり彼女の返事はない。
(おいおい。二度寝かよ。)
無理もない。
昨夜は彼女の『はじめてのタンポン』だったから、
いろいろあって、すごく夜更かししてしまった。
《ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピ・ピ・ピ》
また、鳴り出した。
《ピ・ピ・ピ・ピ ピ・ピッ》
そして止まった。
目覚まし時計のスヌーズ機能が働いている。
スヌーズボタンを押すと一時的にアラーム音が止まるが、
しっかり起きてちゃんと止めないと何度でも鳴り出す。
《ま・な・ちゃーん! おーい! 起きろー!》
《・・・・・》
彼女の返事は、やはり無い。
(こりゃ、やばい。何とか起こさないと。今日は学校がある日だぞ。)
《ま・な・ちゃーん! 起・き・ろー! 学・校・だぞーっ!》
だめだ。何度繰り返して呼んでも。彼女は起きない。
しかし、なんとかして起こさなければならない。
何か尖った物に変身して、彼女を体の内側から刺してやれば効くかと一瞬思ったが
彼女の大切な性器を少しでも傷つけるわけにはいかないし、もしかしたら、
そこまでやっても、寝ぼすけの彼女を起こすに至らないことも十分考えられる。
それに、僕が請け負っている重要な任務を放棄するわけにもいかない。
タンポンをやめて他の物に変身したら、せっかく一晩かけて吸収した経血が
あふれ出し、大洪水ならぬ、大洪血になってしまう。
ここで、またまた補足説明。
僕は、変身を解いて人間の姿に戻ると、変身中に僕の体に混じり込んだ物が
分離されるのである。だから、タンポンに変身して使われた後は、いったん
膣の外に出てから変身し直さないとタンポンを使っている意味が無いし、
それなりの場所で変身し直さないと、周囲を汚してしまうことになる。
ちなみに、変身し直すだけで新品のタンポンになれるという利点は有る。
(むぅ。いたしかたない…)
まなちゃんが何に反応するか。もっとも有効と思われるものの一つを試す。
いつもなら、彼女が一番感じるポイントである「おしり」関係だが、今回は…
《危ない! タ・ン・ポ・ン・が・来るぞーっ!》 (言ってて意味不明だ〜っ!)
《ぁきゃっ! え? どこ!? タンポン? どこ?》
大きな揺れを感じた。どうやら成功したようだ。
《おーい! まなちゃん、起き…》
《きゃーっ!!》
突然、まなちゃんの悲鳴が聞こえた。
《わっ!? どうした!? まなちゃん?》
《遅刻! 遅刻しちゃうよーっ!》
《なに!? いったい、今、何時なんだ?》
僕はタンポンだから、もちろん時計など持っていない。
《8時…過ぎちゃってるよーっ!》
《なんだってぇ!? 目覚まし、7時にセットしたはずだろ?》
目覚まし時計は鳴り始めたばかりのはずだが…
そうだ、僕が最初に聞いたアラーム音は、本当に鳴り始めだったのか?
セットした時刻に鳴った最初のアラームだったとは限らない。
彼女が『テレパシー中継』を始めたのが、ずいぶん後からだったという可能性も高い。
《まなちゃん。スヌーズボタン、いったい何回押したんだよ…》
《そんなの知らないよっ!》
僕は複雑な揺れを連続して感じていた。上下前後左右あらゆる方向の揺れだ。
彼女は着替えをしているらしい。
《あーっ! オシッコ! もれる〜!》
小刻みな強い揺れ。トイレへ向かって全速力といったところか。
《あっ! そうだ。まなちゃん。気をつけないと…》
《あ゛〜っ! 濡れちゃったぁ! オシッコかけちゃったー!》
どうやら手遅れらしい。
僕の足先(タンポンの紐)に、暖かい液体が染み込んで来るのを感じる。
そこは、僕の体のうちで唯一、まなちゃんの体の外に出ていて、
さっきまで、唯一、乾いていた場所だったのに、これで全身ずぶ濡れだ。
《ちょうどいいや。まなちゃん。そろそろ僕を外に出してよ。》
《わかんないよ。 出し方、まだ教えてもらってないんだもん!》
《簡単、簡単。まず、おなかの力を抜いて、ゆっくり…》
《そんな暇、無い! 遅刻しちゃう!》
《おいおい。そのままパンツ穿いたら、紐に付いたオシッコがパンツに染みちゃうぞ!》
《ナプキンでナイトガードするから大丈夫。ええっと、トイレの上の棚。
お母さんのが置いてあったと思うんだけど・・・あ。あった、あった。》
『がさがさ…びりり…』 ←(ナプキンを取り出す音)
《いや、まなちゃん。それだけじゃなくて、僕もこれ以上吸収できないし…》
『ぺたり…』 ←(ナプキンをショーツのクロッチに貼り付ける音)
《ナプキンの力を信じて! やっくん。ちょっとくらい漏らしても平気だから。》
『しゅるしゅるっ…』 ←(まなちゃんがショーツを穿く音)
《それに、バイキンが増えてアソコが病気に…》
『むぎゅっ…』 ←(ナプキンが押し付けられる音)
《やっつけて! やっくん。 バイキン、やっつけちゃって!》
『ぱさっ…ぱたぱた…』 ←(スカートを下ろして整える音)
《でも、僕、昨夜は寝てないし、居眠りでもしたら、血の洪水で溺れ死ぬ…》
『がちゃっ…ばたん…』 ←(トイレのドアを開閉する音)
《がまんして! やっくん! 寝ないで! 溺れないで! 死なないでっ!!》
『ばたばたばた…』 ←(廊下を走る音)
《…てことは、何? 僕は、放課後までこのまま…》
『がちゃっ…ばたん…かちゃかちゃ…』 ←(玄関を開閉し、施錠する音)
《ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!》
そして、短い周期の鋭い揺れが連続し始めた。
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